WordFesの作り方ーその六(協賛編)

さていよいよ最後の協賛編です(たぶんこれで最終回だと思います)。

この回は、過去5年のまとめもありますが、各地域のコミュニティが考えていかなければならないと思う点についての問題提起もさせてもらおうと思います。

体制編」で書いてしまったんですが、スポンサー担当はずっと私がやってきました。
そもそも、他の地域のコミュニティでは、スポンサー担当という係がいるのかどうかも知りませんが、いるんですかね?

最初は、それくらいしかお役に立てそうな係がなかったから引き受けたのですが、結果として「日中の時間帯にメール対応をすることが可能」「ビジネスメールのやりとりに慣れている」という点から、自分で言うのも何ですが「適任」だったのではないかと思います。

協賛していただくスポンサーさんは、一般の企業が相手になりますし、中には誰でも名前を知っているような大企業もあったりします。そういう場合、担当の方とSNSでつながっているとは限りませんから、メールでのやりとりが必要になり、夜ではなく日中の対応になることが多いのです。

本当は「協賛依頼書」みたいなものを作って提出するのが本筋なんでしょうが、最も高額な「プラチナスポンサー」でも5万円という金額であり、特にスポンサーさんから「協賛依頼書」の提出を求められたことはないので、毎回メールでのお願いで済まさせてもらっています。なので、失礼のないメール(だと思ってますが)を、送るように心がけています。

一番最初は、WordCamp Yokohamaの時にスポンサーさんになっていただいたところの、ご担当者を教えていただくとともに、名古屋のメンバーのつながりで連絡先のわかるところを出してもらいメールを送りました。「運営編」でサイボウズからの取材を受けたという話をしましたが、WordBeachの取材の前に、実はうちの会社も取材を受けました。そのときに「取材受けてもいいけど、WordBeachのスポンサーにもなってくれない?」って冗談半分で言ったら、本当にプラチナスポンサーになって頂きました。まぁ失礼な話と言えばそれまでですが、そのときは必死だったのでした(笑)。

毎年スポンサーリストをメンテナンスしているので、来年もそのリストにしたがって送ることになります。

一斉にメールを送ることが多いのですが、その際には同報メールソフトを使っています。私が使っているのは、Mail Distributorというフリーソフトです。

Mail Distributor:http://www.woodensoldier.info/soft/md.htm

案内を送ったあとの申込は、今年からGoogleフォームで作った申込フォームに入力をしてもらいました。今まではメールで送って、メールで返事をもらっていたんですが、メールを送ったところ以外への広がりは弱いというのが現実でした。しかし申込フォームを置くことで、それを見て案内はしていないけれども、スポンサーになるよと申し込んで来て頂いたところもありました。

今年はバックアップスポンサー含み24社の協賛を得ましたが、そのうち13社が新規のスポンサーでした。正確にカウントしてないのでわかりませんが、3~4社はこちらから何も案内は送っていなかったのに、サイトを見て申し込んでいただけました。

スポンサーの申込があると、サイボウズLiveの「スポンサー申込状況」というトピックスに報告をするようにしています。

刻々とスポンサーが増えていく様がわかり、かつ名の知れた企業さんなんかがスポンサーになってくださったのを知ると、スタッフのモチベーションも上がります。

今年からイベント後に、スポンサーアンケート(Googleフォームで作成)を取ることにしました。8社の回答でしたが参考にさせていただきたいと思っています。

あと細かいことですが、実務的にポイントだと感じているところを少し。

  • 振込で協賛金をもらう関係から領収書ではなく請求書が事前にいる。郵送よりもPDFでというところが多い。
  • 配布物の送付は、宅配便の営業所止めで送ってもらっている。
  • 営業所止の場合は、同じ宅配業者で送ってもらわないことを徹底する(佐川で送ってヤマトの営業所止はできない)。
  • 営業所に早く着きすぎないよう、到着時期をあらかじめ指定しておく(1ヶ月前に着いたこともあった)
  • ロゴデータはIllustratorのファイルで受けることが多いが、最新バージョンで開ける環境を準備する。
  • 当日、ブース資材や配布物の残りを宅配便などで返送する希望があるかどうかをあらかじめ把握する。必要な数の「受取人払い」の送り状を用意しておく。持ち込む営業所の場所の確認。
  • 毎年対応の遅い(鈍い)スポンサーさんは、個別に対応をするようにする(笑)

今年の反省に「スポンサーブースの盛り上がりがイマイチだった」というのがありました。

去年はスタンプラリーをやったり、MyCafeチームがオリジナルで「ガチャガチャ抽選会」を大盛り上がりでやってくださったりしたので、かつてない活況を得たのですが、ことしはちょっと寂しい感じになってしまいました。来年以降、スポンサーブースが盛り上がるような企画をスタッフ自身が考えていきたいねという話になっています。

●スポンサー担当のWBS

誰か新しい人がスポンサー担当になるとき用に、やることを分解したWBSを作ってみました。
参考になればと思い、追加でアップしておきます(2014年9月26日追加)。

スポンサー担当WBS

XMind版(XMind.net):http://www.xmind.net/m/MhGM/
FreeMind版(GoogleDrive):http://tinyurl.com/o6vns28
PDF版(GoogleDrive):http://tinyurl.com/mdno2sa

●反省点:ガイドラインの必要性

今年のWordCamp Tokyoのサイトには、スポンサーのコーナーに、あらかじめスポンサーになる人に了承することを求める内容を記載したページがあります。

100% GPL について
http://2014.tokyo.wordcamp.org/sponsors/about-gpl/

来年からは名古屋でも、こういうものを決めて提示し、スポンサーへの了承を求めたいと思います。これは名古屋だけでなく、他の地域も同様だと思います。

WordPressが、最も普及しているCMSとなったことで、GPLの考え方をよく理解していない人も含めて「WordPressビジネス」とでもいうべきものに参入してくる人たちが増えているんだと思います。自ら作ったテーマやプラグインを有償で販売したりすること自体は間違いではないですが、それを購入した人にも再配布を含む「自由」が得られるべきという考え方は、かならずしもすべての人に理解されていないと思うし、「自分で作ったものの再配布を制限して何が悪いんだ」と思う人がいても不思議ではありません。

再配布に制限を加えること自体を、強制力を持ってやめさせるということはできませんが、少なくとも私達のイベントのスポンサーになるというのであれば、この点についてはあらかじめ理解し同意を得られなければ、申し出を受けることはできませんというラインは示すことができるので、このことはハッキリさせる必要があると思います。

●ガイドライン運用の課題

WordCampについては、WordCampについての日本語公式サイトがあります。

WordCamp Japan:http://japan.wordcamp.org/

ここに、WordCampに関わる、スタッフ、スピーカー、スポンサー、ボランティアへの承諾事項(以下、Camp承諾事項)が掲載されています。

WordCamp 運営スタッフ・スピーカー・スポンサー・ボランティア承諾事項
http://japan.wordcamp.org/agreement-among-wordcamp-organizers-speakers-sponsors-and-volunteers/

名古屋の場合は、WordBenchを母体とするイベントは開催していますが、2011年以降は「WordCamp」の名称は使用していません。なので、ガイドラインを考えていくベースは、WORDPRESS.ORG日本語サイトに掲載された「WordPress コミュニティ運営イベントの原則」(以下、イベントガイドライン)をベースに考えていく必要があると思います。

WordPress コミュニティ運営イベントの原則
http://ja.wordpress.org/wordpress-community-event-guidelines/

この中で「WordCamp については、WordCamp 運営者向け情報をご覧ください」とあるように、WordCampと、その名を冠さないイベントとは一定の区別があるものと理解しています。また、ガイドラインの中には「罰則のある厳格なルールではなくむしろ理念に近いものです。」という記載もあります。この立場からすると、明らかにスポンサーとしては失格とは言えないかもしれないという、判断に迷うケースを誰が判断するのかという課題は残るように思います。

●事例検討

抽象的な話をしていてもいけないので、ここで具体的な事例を考えてみたいと思います(あくまで想定事例です)。

まず、100%GPL準拠でないテーマ(以下、テーマX)を配布しているA社という会社があったとします。(100% 準拠とは、WordPressの派生物であるテーマやプラグインに含まれるPHPコード以外のJavaScript、CSS、画像などを含めてGPLであるという意味です。)

(ケース1)
B出版社からのスポンサーの申し出がありました。B社は Web 関連の書籍を刊行しています。A社の社員がB社から書籍を発行しました。この中身はテーマXには無関係の内容です。B社は自社で出版した書籍ですから、その書籍の宣伝をします。この場合、テーマXを配布する人物の書籍を宣伝しているので、書籍のテーマはテーマXには無関係であっても間接的に宣伝をしているということになり、B出版社からのスポンサーの申し出があった場合は、お断りすべきでしょうか?

(ケース2)
C社からのスポンサーの申し出がありました。C社の行うキャンペーンサイトにA社の人間がコンテンツ提供をすることになりました。キャンペーン自体はテーマXには無関係の内容で、テーマXの名前は出てきません。ただしキャンペーンサイトには、A社の名前は提携先として表示されており、A社へのサイトへのリンクはありますが、テーマXを直接宣伝・配布するサイトでのリンクではありません。このときは、C社からのスポンサーの申し出は断るべきなのでしょうか?

●3つの課題

大きく分けて私は3つの課題が投げかけられていると思います。

先にも述べたように、名古屋はWordCampの名称を使っていないので「イベントガイドライン」をベースに考えざるを得ませんが、「Camp承諾事項」との関係など明らかにして欲しい(したい)点があります。これはWordCampの名称を使っているところも無関係の話ではないように思います。

1.判断の主体は誰なのか?
各地域のコミュニティやイベントで、「Camp承諾事項」や「イベントガイドライン」に沿って、なんらかの基準を明らかにしたとして、判断に迷う場合はそれぞれのコミュニティやイベントの実行委員会で判断していいのでしょうか?WordCampの名前を冠する場合は、WordPress Foundationが最終的な判断を下してくれるのでしょうか?WordCampの名前を冠さないイベントの場合は、地域コミュニティやイベントの実行委員が判断するということでいいのでしょうか?

例えば、WordFes は WordBench Nagoya に参加するメンバーが中心となって 実行委員会を作りWordCampの名称を冠さないWordPress イベントを開催しています。その場合に、黒か白か判断がつかないスポンサーがいた場合、WordBench Nagoyaの判断が他地域と異なることがある可能性もあります。

望ましいのは、判断のプロセスがオープンにされ、少数の個人の判断で決めてしまうことなく、判断の基準や事例そのものが共有されコミュニティの叡智として蓄積されることだと思います。

2.基準の適用範囲や条件は?
「Camp承諾事項」の場合は、スタッフ、スピーカー、スポンサー、ボランティアに対しても「100% GPL 互換ライセンスではないWordPress 派生物を配布している第三者を宣伝・奨励しないこと。」とあるのですが、「イベントガイドライン」では「100% GPL に適合しないプラグインやテーマを配布または宣伝する人物をスピーカーにすることは認められません。」とあり、スポンサーはOKのように解釈もできます。WordCampの名を冠さないイベントも「WordCamp基準に準拠」なのか、そうでないのか?
またWordBenchでの告知・宣伝、カレンダーへの登録を諦めるなら、このガイドラインの制約もなくなるという理解でいいのか?

「Camp承諾事項」と「イベントガイドライン」の関係、それぞれの適用範囲や条件など整理しないととてもわかりにくいような気がします。

3.意見交換や情報共有はどうするのか?
最大の問題は、こういうことについて各コミュニティやイベント実行委員間で話合う場が、公式には存在していないということだと思います。

仮に各地域のコミュニティやイベントで判断していいという話になったとしても、意見交換や情報共有の場は必要だと思います。そうすることで、よりWordPressやGPLライセンスへの理解も広がり深まっていくのではないかと思います。

誰がそういう場を提供するのが適切なのか、どういう基準で参加メンバーを決めるのかなど難しい問題は多いとは思いますが、WordPressの普及に伴って、地域のコミュニティも広がりつつあり、そういうコミュニティの広がりこそがWordPressのパワーの源のひとつであると考えるのであれば、避けて通れない課題だと思います。

さて、6回にわたって書いてきました「WordFesの作り方」も、いちおうここで一区切りです。

「あ、これも書かなきゃ」というのが出てくれば、また書くかもですが、いまのところ予定はありません。

もしひとつでも、このブログの記事を読んでくださった方がいるのであれば、それは感謝の念にたえません。

なお、この一連の文章は、WordBench名古屋もしくはWordFes Nagoya実行委員会の公式の見解ではなく、あくまで私個人のまとめと見解であることを最後に付記しておきます。

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