Webサイトのこれからについて考えさせられました-WordCamp Tokyo 2017参加レポート(DAY1編)

ブログを書くまでがWordCamp…ということで、WordCamp Tokyo 2017参加レポートを書きます。 まずは1日目のセッションデイについてです。 ちなみに私は名古屋で開催されたWordCamp以外で参加するのは今回が初めてのようです。 スタッフのみなさん、スピーカーのみなさん、スポンサーのみなさん、貴重な機会を作っていただきありがとうございます。 さて…開会式には間に合いませんでしたが、11時からスタートするセッションに間に合うように会場に向かいました。 聴講できたセッションは以下のものになります。実はあと2つほど聞いていますが、WordFesの実務上の対応で途中で抜けたり、途中から聞いたというのもあったので、それは省いてあります。
顔ハメパネルで記念撮影 
顔ハメパネルで記念撮影 with O

聴講できたセッション

  • Gutenberg が切り開くWordPress の新UX(西川 伸一さん) いちばん聞きたかったセッションです。このセッションについては後半で詳しく書きます。
  • これだけは知っておきたい「Webアクセシビリティ」のこと(植木 真さん) 一時期「Webアクセシビリティ」に凝っていたので、だいたいの話は理解できました。植木さんのお話を聞くのは何年ぶりでしょう? スライドの作り方やセッションの進め方が、とてもこなれていて上手でした。参加者限定で公開された動画が面白かったです。 アクセシビリティを点検するとき「警官ではなく消防士たれ(Be the Fireman and not the Cop)」という言葉が印象的でした。 取り締まるんじゃなくて、問題点を解決する提案をして改善することこそが大事というのはWebアクセシビリティにかぎらず重要だと痛感しました。
  • 常時SSL化の事前確認・注意点・手順 〜WordPressとその周辺で必要なこと〜(古里 武士さん、前川 昌幸さん) 15分という短い時間に要点をしっかりまとめてわかりやすいプレゼンでした。勉強になりました。倉敷でもWordBenchが行われているんだなぁというのもわかってよかったです。
  • WordPress プロジェクトのこれから(宮内 隆行さん) いやぁ熱かったですね、宮内さん。WordPressの地域コミュニティやWordCampなどのイベントに関わる日本人は多数いるけど、WordPressのコアの開発に携わる日本人が少ない。日本人がいるだけで、特になにをするわけでもない場合でも日本語対応などに配慮がされるなどの変化もあるんだ!ということで、日本人がもっとWordPressのコアの開発に携われるようにプロジェクトに関わって欲しいと熱弁されてました。残念ながら私はプログラマではなく、そういう面ではお力になれないんですけど、本当に宮内さんのようにWordPressのコア部分を担っていってくれる日本人(特に若い人)が増えて欲しいなぁと思います。
  • みんなでデザイン、あなたもデザイン(関口 裕さん) デザインがロジック化、フレームワーク化している話、ウォーターフォール型の制作フローではなく反復開発型のフローになってきている点の指摘などは、実感としてもそう思いますし、概念として整理されていてわかりやすかったです。フレームワーク化された仕組みを使うと誰でもデザインができてしまうようになると思えるかもしれないが、表現しようとすることについての様々なストーリーを展開した上で、それを形(ビジュアル)として実現するのがプロのデザイナーの役割であり、ある意味それは力技だとも言っておられました。ポンと膝を打った瞬間でした(^^)
  • 【基調講演】wp_next_step – WordPressの次のステップ(高橋 文樹さん) オープンWebの衰退…確かにそうですね。SNSやモバイルアプリのようなクローズドな世界が普及しており、WordPressで作られたWebサイトより頻繁に利用されていると思います。 ではWordPressは必要なくなるのか?そうではなくて新しい流れに対応する技術(WP CPL、WP REST API、Gutenbergなど)を持っており、WordPressに関わる人、貢献する人をさらに増やして持続可能で、お金も稼げるようにしていきましょうというような話だったと思います。 詳しくはスライドが上がっているので…https://speakerdeck.com/fumikito/wp-next-step-wordpress-web-sositesi-tatifalsewei-lai

Gutenberg(グーデンベルグ)とこれからのWebサイト制作

いちばん聞きたかったのは、このセッションでした。 Gutenberg(グーデンベルグ)とは、WordPressの次期メジャーバージョンアップ時に搭載されると言われているWordPressの編集画面で使われる新しいエディタです。 現在は、β版として機能をプラグインとして提供されているので、試してみたい方は試せます(実はこの投稿もGutenbergプラグインを使って作成しました)。 ●Gutenberg(グーデンベルグ)のプラグインページ
Gutenberg

WordPressの「使命」とGutenberg

Gutenbergのブロック挿入時のキャプチャ
Gutenbergのブロック挿入時のキャプチャ
いままでのエディタと何が違うかというと、いままでは編集画面には大きな入力枠があって、そこにテキストや画像を挿入してエディタからテキストを装飾したり、リンクを挿入したりしていました。 MS Wordで文字や写真を挿入したあと、写真の大きさを変えたり、文字を装飾したりするのに似た感じです。「ワープロみたいで簡単」とは言われるものの、実際にはちょっと凝ったレイアウトをしようと思うとHTMLとかCSSを理解してないといけないとか、あらかじめカスタムフィールドを作っておく必要があるなど「簡単、簡単って言う割には、そんなに簡単じゃないじゃん」という声もよく聞きます。 しかしGutenbergでは、ブロックを積み上げていくタイプの編集画面になります。文章を入れるブロック、画像を入れるブロック、縦に3分割するレイアウトを入れるブロックなど、様々なブロックを追加したり追加したブロックの位置関係をクリックで入れ替えたりできるようになります。 イメージとして近いのはサイトビルダーサービスのJimdoの編集画面や、5.7になる前のconcrete5の編集機能でしょうか…。いまのエディタより、かなり直感的に編集ができるようになると思います。 「案外本当に簡単にできるんだね」って言われそうな感になるように思います。 で、この投稿や編集が簡単にできる、敷居が低くなるということは、WordPressが使命とするところの「パブリッシングの民主化」にとって大きな意味を持っています。そもそもこのエディターのコードネームが「Gutenberg(グーデンベルグ)」なわけですが、このGutenbergというのは世界三大発明のひとつである印刷機(可動式印刷機)を発明した人の名前です。ちなみにですがGutenberg(グーデンベルグ)が発明した可動式印刷機は英語ではMovableType(ムーバブルタイプ)といいます。あのブログシステムの出発点となったプログラムもGutenbergを意識していたということも紹介されてました。 Gutenbergが発明した印刷機とその技術は聖書を大量に印刷することに成功し、ルネサンスの拡大や宗教改革を支えた技術でした。後の文化や民主化、市民の言論活動にとって印刷技術は欠かせないものであり、WordPressもネット上における情報発信や言論活動を、広く民主化していくことを使命としているために、誰でも使えることを目指しています。むずかしく一部の人しか使えないものでは「パブリッシングの民主化」させることはできません。この新しいエディターは、誰でも情報発信できるようにする上で重要な役割を果たすとWordPressの開発者たちは位置づけているようです(西川さんも、このあたりかなり強調されてました)。

サイトビルダー化する?WordPress

西川さんから、今後WordPressの機能として強化するものとして3つの点があげられました。
  • Gutenberg
  • カスタマイザ
  • WP REST API
WP REST APIというのは、WordPressがブログやサイトを構築するためのツールとしてだけでなく、IoTを含む様々なデバイスに情報を送り出すプラットフォームのようになっていくための技術です(あってますかね?)。一方、Gutenbergとカスタマイザの機能を強化させるということは、編集画面だけではなくサイトのレイアウトやデザイン、配色などをHTMLやCSSを見ずに変更できるようになり、一般の人でも自由に見栄えのよいサイトを作ることができるようになるということです。今でもテーマによっては、かなりカスタマイザでレイアウトやデザインの変更ができるようになっていますが、これをさらに強めていこうということです。誤解を恐れずに言えば、WordPressがJimdoみたいにブラウザ内でドラッグ&ドロップや、クリックでサイトのデザインを変更できるようになるということだと思います。WordPressのサイトビルダー化といっても良いかもしれません。

WordPressがJimdoのようにデザインし編集できるようになると…

これは私のように、PHPはおろか、HTMLやCSSのコーディングが怪しい人にとっては、とてもうれしいことです。しかし、こうなるとWeb制作をしている人の仕事が減ってしまうかもしれません。 これからのWeb制作を考えた場合に、デザイナーやフロントエンドエンジニアの役割は何なのか、必要なのかという問い直しがいずれ起こるのかもしれません。 デザインやレイアウトを簡単に変更できるとは言っても、サイトの目的や狙いに合致したレイアウトやデザインを作るにはカスタマイザの機能だけでは不十分であることもあるだろうし、仮にカスタマイザの機能の範囲であっても適切なデザインやレイアウトにするにはデザイナーの力が必要とされる場合もあるでしょう。 このセッションの後で聞いた「みんなでデザイン、あなたもデザイン」において、関口さんが「フレームワーク化された仕組みを使うと誰でもデザインができてしまうようになると思えるかもしれないが、表現しようとすることについての様々なストーリーを展開した上で、それを形(ビジュアル)として実現するのがプロのデザイナーの役割」という主旨のことを言われていて、そのときこのGutenbergとカスタマイザの強化によるWordPressのサイトビルダー化について思い起こすこととなりました。 実はGutenbergの機能的な内容に踏み込んだセッションなのかなと思ってましたが、それ以上にGutenbergが持つ大きな意味合いを知り、他のセッションも含めてWeb制作の今後について考えさせられたDAY1でした。

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